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フォーラム
テーマ:第3回 救援物資の受入れと配分(2006.1.17-1.31)
今回のテーマは、「救援物資の受入れと配分」を扱います。10年前の阪神・淡路大震災では、昼夜を問わず物資の受入や仕分け、避難所等への配送が行われたのですが、マンパワーの絶対的な不足に加え、受入場所の確保や仕分け・配送の混乱もあり、避難所等への物資への供給に混乱をきたし、配送拠点に膨大な在庫を抱えるという状態も発生しました。
一昨年の新潟県中越地震でも、発災から数日間は避難者に対する食料や生活必需品が不足し、備蓄物資のあり方が問題となりました。さらに、交通網の麻痺や情報の錯綜により、災害救援物資をどこに届けて良いのか分からず、それらの運搬や配分に支障が生じるという事態もおこり、10年前の教訓が必ずしも生かされていなかった現状があります。
みなさまの阪神・淡路大震災での経験や、新潟県中越地震などそれ以降の災害での経験を踏まえたエピソードやご意見について、情報交換を行いたいと思います。
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兵庫県神戸市 危機管理室 主査:多名部 重則(「神戸の絆」事務局)
2006-01-16 23:09:56
神戸市危機管理室の多名部と申します。「神戸の絆」ネットワークのコアチーム(事務局)のメンバーです。今回の会議では「救援物資の受入れと配分」をテーマに選ばせていただきました。また今回の会議からは、議論をみて興味のある方が途中から参加することも可能としています。
今回のテーマでは、参加している皆様の被災地支援の実体験やだけでなく、それぞれの自治体における実情や取組みについても意見交換をしたいと思っています。それでは、宜しくお願いします。
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兵庫県神戸市 教育委員会事務局スポーツ体育課長:進藤 幸生
2006-01-18 15:33:22
神戸市教育委員会の進藤幸生です。阪神・淡路大震災の際、救援物資を担当していました。想像を超えた大規模な災害であった阪神・淡路大震災では、ピーク時には市内で23万人強の被災者が生活した避難所ならびに避難所以外で生活を送る被災者への救援物資の配送方法と全国から送っていただいた救援物資の受け入れ、整理・保管が大きな課題となり、行政だけでなくボランティアの大きな力を得て、受け入れ・整理、保管・配送が進められました。
 当初の段階では、被災者が必要とする物資を必要とする場所へどのようにして出来るだけ早く届けるかが大きな課題であり、この課題解決の前に立ちはだかったのが、大量に届いた救援物資の受け入れと整理・保管を行なう場所と人手の確保、道路が火災や救助活動のための通行規制を受けたり、倒壊した家屋がふさいだり、路面のひび割れ、段差の発生など道路自体の被災などにより物資配送に困難を極めました。
発災時点から時間の経過とともに解決すべき課題は変わっていったのですが、まず最初に、救援物資を受け取った際に感じた、「今後、このようなことが起こったらこれだけはお願いしたい」と考えていたことを順次、書き込みます。
 当時、まず救援物資の受付専用電話を設置し、全国に向けて被災者が必要としているものが何であるか、物資の搬入先や輸送経路についての情報を発信しました。しかし、支援者がテレビや新聞での報道や被災地への問い合わせを経て、物資を調達・集約し、被災地へ発送するまでのタイムラグの存在、交通渋滞等の発生が物資の到着・避難者への配送を遅らせ、需要と供給のミスマッチを起こしました。大量の古着や新入学生徒数以上に届いたランドセル、寒い時期を過ぎても届き続けた毛布などが一例ですし、交通渋滞のため、届けたいと思った被災地への配送を断念し、途中の避難所や便利な場所の避難所に大量の物資が集中するケースもありました。テレビで紹介された避難所に、弁当やパンが大量に届くといった事例もありました。
 これ以外でも阪神・淡路大震災での経験として様々なことがありましたが、みなさん方(被災地・被災者として。または支援する側として)はどのようにお考えでしょうか。
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長野県駒ヶ根市 庶務課危機管理室 主任:北原 伴幸
2006-01-19 21:48:47
大量に集まりすぎる救援物資の問題については、自治体の受入体制があらかじめ整備されていない限り同じような混乱は生じてしまうんだろうな、と思います。

多くの時間が割かれてしまい、肝心の復旧復興にかける手間を削られてしまう要因は、この大量かつ分類なく届けられる救援物資の受入・配分と報道対応なのかな?って思っています。
「もったいない時間・・・」というイメージです。
災害発生後、膨大な業務に追われる中、効率的にできればかなりの時間が短縮できるのでしょうから、各地域において、あらかじめ受入体制を整えておくことが非常に大切だと思います。

大地震の場合、被害は局地的ということでなく広域となる訳ですから、市町村ごとに受入体制を作るというより、例えば、広域事務組合単位とか県の地方事務所単位とかで受入と配分ができるような体制を作れるといいと思います。

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兵庫県神戸市 教育委員会事務局スポーツ体育課長:進藤 幸生
2006-01-20 13:32:03
北原 伴幸様のご意見にあるように受入体制(配送方法も含めて)を予め、整備しておくことが一番大切だと思います。阪神・淡路大震災当時、神戸市では民生局(現:保健福祉局)が防災計画上、被災者の全般的な支援(被災者への食事供給、義援金ほか)を所管し、救援物資関係もその業務の中に含まれていました。このため、本来の業務である高齢者、障害者をはじめとした要援護者・弱者支援に専念することが初期段階で不十分であったと考えます。ただ、どの部署が所管していても本来業務の関係の災害復旧、復興支援などが発生しますので、そういう意味では専任の部署があれば、その心配が無いわけですが、実現性は低いでしょう。
 そこで支援する側で、予め品目別、種類別に分類、一定量を取りまとめた上で、送る時期(必要とする時期も合わせて)、送る場所(必要とする場所)を調整することができれば受入体制も含めて被災地の負担も小さくなるのではないかと思います。
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兵庫県神戸市 危機管理室 主査:多名部 重則(「神戸の絆」事務局)
2006-01-24 17:10:00
 北原様や進藤様の発言にもあるように、災害発生時の被災地の負担ということを考えると、あらかじめ救援物資の受入体制の整備が重要だと思います。
 いま、総務省消防庁では、都道府県を越えた救援物資の送付や受入・輸送体制の運用指針として「緊急物資の備蓄・物流計画のガイドライン」の作成を進めているようです。先日その素案をもとに神戸市もヒアリングを受けました。
 このガイドラインの素案では、都道府県が被災地外からの救援物資の総合受付として搬送要請や数量管理などのマネージメントを行い、市町村が不足する物資を都道府県に発注するという形を取っています。都道府県は、都道府県ごとの広域物資拠点から市町村の集積拠点の間の輸送を、市町村は自らの集積拠点から各避難所の間の輸送を担うことになります。さらに都道府県が被災地外から物資を受入れた段階で、救援物資を種類(食糧・飲料水、生活必需品、医療救護資機材等)ごとに仕分けし、パック化を行うことで混乱を防ごうとしています。
 このように物資と情報の流れが整理された体制が事前に準備できていることが一番良いのですが、実は神戸市の地域防災計画でも救援物資の受入については、阪神・淡路大震災のときの体制の明文化にとどまっており、教訓を十分に踏まえたものにはなっていません。
 救援物資の送付・受入れは、全国的な統一ルールがあり、それをもとに自治体の地域防災計画で定められている、さらに支援する側の自治体や企業も統一ルールを熟知したうえで物資を送付することが、最も大切だと思います。
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東京都福祉保健局少子社会対策部子ども医療課母子保健係長:田村 陽子
2006-01-27 23:59:23
 昨日、多名部様に教えていただいて、消防庁の「災害支援物資の備蓄・物流計画ガイドライン検討会」を傍聴させていただきました。 ガイドラインは、主に各自治体を対象に書かれるそうです。進藤様の書かれたような物資の需給のミスマッチ・タイムラグ・支援物資供給のためのコストなどの話や、北原様の書かれたような区市町村と広域自治体の役割について意見が出され、国民の責務についても話題にのぼっていました。
 支援をする方の「善意」が、される方の「ニーズ」に合うような、一定のルールが必要だと思います。                                  私自身が、ほ乳びんやミルクの備蓄のあり方についてのヒアリングを重ねる中で、主に企業さんできかれたのが、支援を行いたいという申し出がいろいろな企業・団体からあり、どこを優先してよいかわからなかったということでした。物品の種類によっては、供給できるメーカーなどが寡占状態であり、自治体の供給協定や保管契約のパイの取り合いになると同時に、企業の社会貢献の対象ともなりうるため、生活必需品については、被災時の供給配分の優先度について、ルールができるとよいのではないかと思ったりしています。 また、各自治体でも備蓄等備えていらっしゃるとは思いますが、実際には保管場所が被災した場合に物資が使えなくなるということ、保管場所の鍵をもっている方が被災する可能性があることを想定すると、広域的・迅速な支援を確保することの重要性を感じます。
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兵庫県神戸市 危機管理室 主査:多名部 重則(「神戸の絆」事務局)
2006-01-30 12:06:57
 自治体では食料品などを避難所や物資拠点に備蓄するだけでなく、企業や団体と災害時物資供給協定を結ぶことで流通在庫備蓄を確保しています。神戸市でも、コープこうべや日本チェーンストア協会などと協定を結んでいます。こうした協定による物資調達は、確かに他の自治体との取り合いになる可能性はあるのですが、大きなロットでの調達が可能であり、搬送についても企業側のトラックが使用可能(協定の内容にもよるのですが)であることから、災害時の物資調達手段としては非常に有効なものだと思います。
 これに対して、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震でも課題となったのですが、全国の個人・団体からの自発的な物資(義援物資)の提供は、多くの場合、市役所などの前に山積みとなってしまいその仕分けに多くの労力を割かれること、進藤さまが指摘しているように必ずしも被災地のニーズに一致しないことから、被災自治体にとっては頭の痛い問題だと思います。消防庁で検討しているガイドラインでも、「発災当初は被災地が混乱しているため、このような義援物資に関しては、原則として受け入れない。」こととして、その旨を十分広報する必要があるとしています。義援物資を送ろうとする方々の気持ちは十分分かるのですが、仮に被災自治体で受け入れるという判断をしても、それを正確に広報しなければならないなどまだまだ難しい問題だと思います。
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新潟県小千谷市 企画財政課 副参事:渡辺 辰男
2006-01-31 06:24:51
新潟県小千谷市企画財政課渡辺と申します。
新潟県中越地震では情報財政班として、主に本部で電話対応や情報整理を行っていました。今回のテーマの救援物資について中越地震のようすについて、私見を交えながら報告をさせていただきます。
中越大地震における小千谷市では、市民全員が被災者という状況において一時的には不足する物資もありましたが、その調達についてはそれほど困りませんでした。多名部さんが書いていらっしゃるような県等を通じての発注が機能し、必要な物資の調達はほぼ可能でした。(もっとも、今後想定される太平洋側大都市が被災をした場合を想定すると、全面的な救援物資の不足というのは心配されます。)
救援物資について大変であったのは、不足するも物の調達ではなく、全国から届く善意の大量の物資をいかに捌くかでした。初期から電話等で申し込みがあった場合には断るようにしていましたが、それでもどんどん物資は届きます。
マスコミは、初期は「かわいそうな被災地」として現地の様子を報道します。日本中が「なんとかしてあげよう、できることをしよう」と思ってくれます。でも、その結果として必要以上の救援物資が集まります。
物資の偏りも問題でした。マスコミが「いま現地では水足りない」と報道すれば、あっという間に大量の水が届きます。現地レポーターが避難所で赤ちゃんを抱えたお母さんに「いま、何が必要ですか」とたずね「紙おむつと粉ミルク」と答えました。よく日には紙おむつと粉ミルクが大量にとどきます。
また、現地のボランティアによるインターネットへの書き込みも救援物資には大きな影響を与えました。どなたかが「現地ではホッカイロが足りない」とひとつの掲示板に書き込みをしました。その書き込みは数十箇所の掲示板にコピーをされ、いつまでも消されることはありません。インターネットで見ましたといって、いつまでもホッカイロが処分しきれないほどに届きました。
今回の教訓として、被災地としての受け入れの事前準備も必要ですが、マスコミや教育を通じて、「被災地に個々の善意で物資を送るのは時として迷惑ともなる」ことを、普段から承知していることも必要かなと思います。
最終日になって長文ですみませんが、参考になりますでしょうか。
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兵庫県神戸市 教育委員会事務局スポーツ体育課長:進藤 幸生
2006-01-31 09:22:10
渡辺様が経験された報道等による特定の救援物資の集中は阪神・淡路大震災でも経験しています。私自身は震災発生からおよそ1ヶ月を経過した2月中旬から物資関係の提供受付・調整の電話窓口を所管していたのですが、前任から引き継いだ時点から「今は〇〇は十分にありますので結構です。できれば〇〇が不足しています(あるいは、これから必要となります)」という応対をすることでした。善意の申し出に対して、被災地としてこういう言葉を発することが必要となるほど特定の物資に集中していました。

 申し出をいただいた方からは、テレビで足りないと言っていたとか、〇〇公園で寒そうにされていたからなど、申し出をいただくに至った有難い言葉が続き、こちらの事情を一生懸命に説明したことを覚えています。また、せっかく地域で(学校で、職場で)集めたのだからという声もありました。以前に申し上げた意思決定から発送までのタイムラグの問題です。

当時はインターネットがほとんど普及していませんでしたから、自ら情報発信するには、報道機関への情報提供や取材時に問題発生を訴えることでした。救援物資を発送する前に被災地で今、何が必要とされるか、ぜひ確認してほしいと。
奥尻島でも大量の古着が送られるなど同じようなことが起こっていたようで、報道機関の方から阪神・淡路大震災ではどうですかと聞かれたこともありました。経験は生かされたとは言えないようです。

この問題とは、別の話となりますが、渡辺様の小千谷市では、「市民全員が被災者という状況において一時的には不足する物資もありましたが、その調達についてはそれほど困りません」とありました。実はここからも大切なことを考えなければなりません。
被災地の生活が徐々にですが取り戻されるにつれて、商店や飲食店なども再開されていきました、その際、避難所などにはこうした商店で購入できる物資も被災者に配布されていたということです。被災し、苦しい状況にある避難所の被災者にもこうした生活再建に向けて店舗を再開した被災者も含まれていたということです。
大変難しい選択ですが、いちどパネラーのみなさんもよい意見があれば。

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